スーツ姿のプロダクトマネージャー

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図解 実戦マーケティング戦略 〈本のレビュー〉 商売とは何かを教えてくれる本

以前のエントリーで、プロダクトマネージャーにはマーケティングの視点が大切だと書きました。

プロジェクトマネージャーはより大きな視点、「製品戦略」の一部としてマーケティングの視点を獲得しておく必要があります。そして、製品の機能検討、デザイン、プロモーションなどにおいて、市場を意識した意思決定を行えるようになる必要があります。技術を意識するのではなく。 プロダクトマネージャーが持つべきマーケティングの視点

その中でいくつか本を紹介したのですが、大切な本を紹介するのを忘れました。
佐藤義典さんの「図解 実戦マーケティング戦略」です。

図解 実戦マーケティング戦略

図解 実戦マーケティング戦略

 

この本には、「商売とは何か?」ということを教えていただきました。

 

経営戦略とマーケティングの絶妙なバランス

発売は2005年ですが、そのころちょうどプロダクトマネジメント業務をやり始めた時期だったので、何度も読み返した記憶があります。引っ越しの時に一度手放したのですが、再び手に入れたのでした。

当時は経営コンサルタントが書いた本がブームになっていたような時期で、「経営戦略」「ロジカルシンキング」などの本がたくさん出版されていました。
ところが、プロダクトマネジメント、つまり一つの製品から見ると、経営戦略で語られる組織論や事業戦略はやや大きすぎて、イメージがつかみにくいと思っていました。

次に、マーケティングにもいろいろと手を出したのですが、理系なので下地がなくてよくわかりません。今考えれば、当時の私は商売の仕組みがわかっていなかったのです。

本書の特徴は、絶妙なバランスにあります。
具体的には、

ということで、初学者の私でも想像しやすい内容でした。そして、日々のプロダクトマネジメント業務で恐る恐る試すことができたのでした。

企業研修でよく使うSWOT分析の罠

著者のWebサイトで本書について熱く語られていますが、私が特に共感したのは「戦略をつくる前に『強み』と『弱み』は決められないのではないか?」という主張でした。

これは、製品や事業の戦略を考えるときによく使われる「SWOT分析」に対する疑問ということになります。SWOT分析は、内部環境の強みと弱み、外部環境の機会と脅威を分析する手法です。企業研修などでも頻繁に出てくると思います。

たしかに、SWOT分析をやってみると面白く、なるほどなぁと思う結果が出てくることもあります。しかし、その後「それでどう手を打つの?」と考えたとき、思考が止まってしまうか、のっぺりした打ち手になってしまうことが多々ありました。

その根本原因は、「ターゲット市場、戦う場所、製品によって強みも弱みも変わってくる」ということだと考えています。つまり、考える順番、前提条件を適切に考えないと、ごちゃまぜになってしまうということです。

本書は、これらのことをまさに実践的に紐解いてくれます

良書は生涯の友になる

この本を初めに手にしてから10年以上経つわけですが、上で書いたような考え方が私の中に染みついているのは間違いありません。自分のビジネスの主戦場を、業務パッケージというコテコテの世界から、AIというややふんわりした世界に移したあとも、基本的な考え方は変わっていません。

例えば、安易な考え方を持った営業さんは、お客様に初めて訪問する前に「自社の強みをとにかく資料にして語ってください。」と言います。これは、聞いている側からすると、押し売りにしか聞こえないのではないでしょうか。

これは昔からよく遭遇する場面です。私はこの場面に出会う度に、

客様の狙い、自社の入り込み方、競合の状況によって強みは変わります。絶対的な強みというのは何も語ってないのと同じですよ。

と説明するのですが、なかなか伝わりません。気持ちはわかるのです。しかし、強みを語るときこそ戦略性が必要なのです。

やや抽象的な話になってしまいましたが、このような考え方を植え付けてくれたのはまさに本書であり、大変感謝しています。

まさに生涯の友となる本になったのでした。

 

 

図解 実戦マーケティング戦略

図解 実戦マーケティング戦略