スーツ姿のプロダクトマネージャー

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Chromebookが気になってしかたない(その製品戦略について)

最近、Chromebookが気になってしかたありません。

アメリカの教育市場でシェアが増えているという記事を見たのをきっかけに、いろいろ調べているととても面白そう。製品戦略的にも興味深いです。ここまで盛り上がっているとは知りませんでした。

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なんとなく、日本でも教育市場や個人ブロガーなどを中心に、広がりそうな予感がします。
自分でも欲しい!と思ってWebをウロウロしているのですが、今回はその「製品戦略」を調べてみました。

 

 

教育市場から攻めるChromebook

Wikipediaによると、Chromebookが登場したのは2011年5月。機能的には、Chromeしか動かないLinuxベースのPCです。基本的にはオンラインでの利用が想定されますが、オフラインで使えるChromeアプリもある上に、最近はAndroidアプリが利用できる機種が増えてきて、用途に広がりを見せています。

急激なシェアの増加

ところで、このChromebookが教育市場で急速に広がっているというのです。
CNET Japanの記事によると、

2016年に米教育市場で「Chrome OS」のシェア(ハードウェア出荷台数)が前年の50%から58%に増加した <中略>

3社のシェアはGoogleが58%(出荷台数は1260万台)、MicrosoftWindows)が21.6%、AppleiOSおよびmacOS)が19%だったいう。また2012年にはこの割合が、Appleが52%、Microsoftが43%、Googleが1%未満だったというから、最後発のシェアだけをみるとGoogleが市場を一気に制覇した格好にも見える。

グーグルが大躍進する米教育市場--MSやアップルと異なる“草の根”戦略 - CNET Japan

ということで、最後発で一気にシェアを取ったように見えます。こういう話は正直痺れますね。
IT mediaの記事では、より詳しいグラフの引用がありますので、ご参考に。

www.itmedia.co.jp

 

アメリカだけでなく、日本の教育市場でも活用されつつあるようです。

www.nikkei.com

www.biz-dna.jp

製品戦略の視点からシェア拡大の要因を紐解く

さて、このChromebookの飛躍、確かにコスト競争力があることがその背景にあるようです。しかし、先ほど紹介したCNET Japanの記事を詳しく見てみると、コスト以外に興味深い点が2つ見つかりました

トータル的な価値提案:教師と生徒の双方に価値あるツールを提供

まずは一つ目、顧客価値にまつわる点です。単に安価なハードウェアで勝負するのではなく、教師と生徒の双方にとって利便性の高いツールやサービスを合わせて提供したということでした。これは、ターゲット市場が求めるものを、すべて提供していこうという話で、まさに「ホールプロダクト戦略」だと思います。

教員向けの“Google Classroom”という管理ツールを他者に先駆けて開発したことにも何度か言及がある。このツールを使うことで、教師は生徒に宿題を割り振ったり、提出された宿題をチェックしたりすることが簡単にできるようになったそうだ。

ホールプロダクト戦略は、新しい製品が世に浸透していく中で、ギークのようなマニアや先駆者でなく、実質的に市場成長を引っ張る「アーリーマジョリティ」を攻略するときに重要な戦略です。

これは、コモディティー化した製品に何かをくっつけて単価を上げようとする安易な戦略とは一線を画すもので、市場の課題を捉えたまっとうな戦略だと思います。

地道なアクション: 現場へ入り込む

そして、このような戦い方を支えるには、現場ニーズの吸い上げが重要ですが、MBA的なキレイな形でなく、足を使ったアクションの積み重ねがあったのではないかと想像できる記事がありました。それが2点目の話です。

Googleが市場参入・浸透に際して用いた戦略。もともとはGmailやDocsを自発的に教育現場に持ち込んだ一部の熱心な支持者がいて、Googleは彼らをサポートしたり、エバンジェリストとして活用したりしながら、直接現場の教師たちを取り込んでいったという。

グーグルが大躍進する米教育市場--MSやアップルと異なる“草の根”戦略 - CNET Japan

Webサービス企業であるGoogleがここまでやったのか! と正直驚きました。
これは、既存のITベンダーにとっては大変脅威だと思います。 

サプライヤーたるPCメーカーにとってはどのような戦いなのか

さて、この教育市場でのChromebookの戦いですが、本来の主役であるべきメーカーにとっては、どのような戦いなのでしょうか。
Chromebookで現在トップメーカーと言われるAcerについての記事がありました。

forbesjapan.com

これを読むと、メーカー同士の戦いは「価格戦略」のように見えます。先ほどのホールプロダクト、エバンジェリストを含めた普及の促し…とは打って変わって非常にシンプルなストーリー。

つまり、ノートPCとしてのChromebookは、対教育市場のビジネスでは、バリューチェーンの一部に過ぎないということです。

したがって、Chromebookを取り巻く教育ビジネスは、もはやノートPCというハードウェア製品の戦略ではなく、教育市場を起点とした総合的なビジネスになっていると思えます。 

その絵を描いたのは誰で、どうやって戦略を生み出し、その先に何を目指すのか―興味は尽きません。