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キャリアの創造的破壊 (1)ユニークなキャリアを創る

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アメリカでは数年毎に職場を変えている人が多いようですが、国内でも転職でキャリアを積み上げることが当たり前になってきました。伝統的な企業が新しいビジネスを生み出せずに苦しんでいる様子や、スタートアップ起業が増えてきていることを見ると、キャリアの行く末に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

そんな中、直線的なキャリアアップではなく、職種を大きく変えながらユニークなキャリアを築いている人たちがいます。このような人たちは、キャリアの創造的破壊を行って独自のポジションを持っています。

ここでは、キャリアの創造的破壊について考えてみます。

長くなったので記事をいくつかに分けます。

 (1)ユニークなキャリアを創る ※本記事

 (2)破壊的キャリアの狙い

 (3)破壊的キャリア4つの原則

 

キャリアの創造的破壊とは?

職種を大きく変えながらユニークなキャリアを築いている人たちとして、例えば次のような方がいらっしゃいます。

このように、直線的なキャリアの積み上げでなく、一見脈絡のないキャリアを経験しながら、独特な経験やスキルを創っていく人が少なからず存在します。脈絡がないといっても、後で振り返ってみると点と点が繋がっているのが特徴で、単なるジョブホッパーとはまったぐ違うキャリアだと思います。*1

似たような経験を持った人がいないので、このようなキャリアは独自のポジションを持つことができます。また、「やらない後悔」のないキャリア選択になるので、本人としても充実しているのではないでしょうか。

 

こうしてできたキャリアは非常に魅力的だと思います。

しかし、その一歩を踏み出すためには、それまでの経験を捨てる覚悟が必要になります。例えば、上に挙げた田中さんの場合は、編集長としての地位と経験をリセットし、ゼロベースで映画の世界に飛び込みました。そこで新たな成長軌道に乗って成功をおさめるのですが、相当な苦労があったのではないかと想像します。

まさに、キャリアの創造的破壊といえるでしょう。

 

キャリアの創造的破壊はなぜ必要か?

キャリアの創造的破壊という概念は、ビジネスの世界でいうイノベーションの考え方をキャリアに取り入れたものです。創造的破壊というのは、市場経済における新陳代謝のことで、新たな効率性(価値)が市場を発展させる役割を果たすとされています。*2 ビジネスという市場環境の中で、古い製品や企業が新しいものによって破壊されてよりよくなっていくことと捉えてよいでしょう。これは、資本主義経済の利点の一つです。

われわれは資本主義経済の中で働いているので、必然的にこれと同じような力学に左右されています。具体的には、その市場の需要を満たす希少な存在になれば、市場で競争力を持つことになります。一方、誰でもできる仕事やお手軽にできる仕事を選ぶのであれば、賃金が低くなるか、あるいは、機械化によって仕事がなくなる恐れがあるのです。

これは、雇用市場を目指すか独立的に市場に打って出るかを問いません。

 

もう少し身近な例で考えてみます。例えば、SIerでオンプレミス・インフラSEとしてキャリアをスタートさせてPMを目指す場合。

作業者として2-3年経験を積んだ後にチームリーダに昇格。その後、規模の小さなシステムであればPMを、規模の大きなシステムであればサブシステムのリーダを行うことになるでしょう。PMとして一定の経験を積んだ後は、管理職としてプロジェクト責任者のポジションに立ちます。そして、複数のプロジェクト責任者を兼務してプログラム管理を経験し、上級幹部を目指すというキャリアになると思います。

このように築かれたキャリアは、SIerにおいては王道で強いキャリアになります。しかし、例えば以下のようなことが起きたらどうでしょうか?

  • オンプレミス中心だった既存のSI案件が、AWS等の台頭でクラウド中心に転換。インフラ費用のコストカットが進み、競争が激化。
  • これまではSIer同士の戦いだったが、総合系コンサル会社が競合に。商談が超上流でのアプローチに変化し、既存の商談アプローチでは厳しくなる。
  • ある業務に特化したプロジェクトでキャリアを積み上げてきた。しかし、クラウド型の破壊的なWebサービスが登場して市場を席捲。オンプレミスの市場がなくなってしまう。

ここで上げた例は、今まさにSI市場で起こっていることです。業界内にいる人からみれば当たり前に見えるでしょう。しかし、これらのことを10年前に予想できた人は何人いるでしょうか? また、現在PMとして管理職の入口に居る人が入社したのは12~15年前です。例えば、クラウドという概念もいまでこそビジネスの道具・戦略ですが、2005年頃は分散コンピューティングの一つとして位置づけられていました。

つまり、キャリアを開始した時点で、そのキャリアが10年後に存在するか、伸びているかどうかはわからないということです。変化が緩やかな時代であればいいのですが、これほど変化が激しい時代には、直線的で単一なキャリアに頼ることが、実は一番リスクが高いのではないでしょうか。

 

私の場合

このブログでも何度か紹介していますが、私自身も職種の振れ幅が大きい方だと思っています。事業部でアプリケーションSEとしてキャリアをスタートし、その後研究所へ異動。研究所でデータ分析や技術開発をやった後に本社のマーケティングで新ブランドの立ち上げに奔走。そして、AI関連のビジネスを行う事業部へということで今に至ります。結果的に一つの会社に長くいますが、これほどの振れ幅が大きい経験を持った方には、社内ではなかなか出会えません。

 

結果としてどうだったか?というと、普通にSEとして経験を積み上げた方よりも昇進が少し遅くなりました。しかし、キャリアの幅がかなり広がり、手持ちのカードが増えたという感覚を持っています。そして何より、「やってみたい」と思ったことは一通り経験できたので、納得感を持っています。

 

自分の競争力を高める策として、自らキャリアを破壊するというのも一つの有力なやり方だと言えます。

次の記事では、破壊的なキャリアを築くための戦略を紐解いてみます。

 

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*1:スティーブ・ジョブズが米国スタンフォード大学卒業式の祝賀式で卒業生に向けて行ったスピーチでも、点と点を後から繋げることが重要だと言っていますね。

*2:創造的破壊、イノベーションの概念は、ヨーゼフ・シュンペーターが「経済発展の理論」の中で提唱しました。