スーツ姿のプロダクトマネージャー

ITで新しいプロダクトを生み出したいすべての人を応援するブログです。

プロダクトマネージャーおすすめ本11選

f:id:ku2t:20180311085511j:plain

このブログのテーマのひとつ、プロダクトマネージャー。

プロダクトマネージャーは、製品やサービスといった「プロダクト」の要件を決定し、開発を引っ張って世の中に送り出すことに責任を持ち、市場への普及を促す役目を担います。

Web企業において、魅力のあるサービスを作るための要となる職種とされています。

最近では、Web企業に限らず一般の事業会社でも、ITを活用した新製品、サービスを作って新しいビジネスを立ち上げようとする動きが活発化しています。国内でも、プロダクトマネージャーの必要性がますます高まってくると予想しています

その一方で、プロダクトマネージャーは市場と技術とビジネスの間で仕事をするミニCEO的な存在であり、かなり複雑なスキルとマインドセットを必要とします。

プロダクトマネージャーは市場と技術とビジネスの間で仕事をする - スーツ姿のプロダクトマネージャー

例えば、プロダクトマネージャーは、市場を「見る目」としてマーケティングの知識を持っておく必要があります。それに加えて、製品を含めたビジネスプランを考えるための戦略眼を養うことも重要です。

こうしたスキルやマインドセットを身につけるためには、業務経験から学ぶことと並行して、本から体系的な知識を吸収し、自身の経験を整理していくことが効果的です。
実践と座学のミックスですね。

ところが、プロダクトマネージャーという職種は複雑な一面があるため、1冊の本で体系的に学べるという状況にはなっていません。私も、10年以上前にこの道に足を踏み入れたのですが、手掛かりになる知識を得るのに試行錯誤しました。その結果、私の本棚にはマーケティング、経営戦略、スタートアップ、技術、マネジメント、心理学など様々なジャンルの本が並んでいます。

ここでは、その中からプロダクトマネージャーへのおすすめ本を厳選し、ご紹介します。システムエンジニアからプロダクトマネージャーへ転身したい方や、プロダクトマネージャーになったばかりの方、さらに事業会社で企画にかかわる方にも参考にしていただきたいと考えています。

   

 

プロダクトマネージャー基本の4冊

プロダクトマネージャーとは、どんな仕事で何を目指して仕事をしているのか―。プロダクトマネージャーという職種を目指す人や、その業務を始めたばかりの人は、その職の本質をつかみたいと思うのではないでしょうか。

まず、仕事の全体像を掴むための4冊をご紹介します。

1. キャズム Ver.2 

世に出た新しいプロダクトが、市場に受け入れられながらどのように普及していくのかということを、マーケティングの目線で描いた本です。ハイテク系のベンチャー、スタートアップにかかわる方は必読の書と言われています。

マーケティングの本ではありますが、プロダクトマネージャーが対峙するビジネスそのものを、鮮やかに描いています。この本を1冊目に選んだのは、まさにプロダクトマネージャーが身を置く世界がどのようなものであるか、一番わかる本だからです。

新しい製品が世の中に普及していくときには、マニアックな購買層から一般的な購買層との間に存在する大きなギャップ―本書では「キャズム(溝)」が存在しています。本書では、このキャズムを乗り越えるための、マーケティング、製品、組織のあり方をテーマにしています。

この本を読むことで、プロダクトマネージャーの「市場を見る目」を養うことができるでしょう。

2. 世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本 

まさにプロダクトマネージャーになりたい人のために、どうやってIT企業に就職するのかというノウハウを書いた本です。国内外問わず、プロダクトマネージャー向けのおすすめ本として、よく紹介されている本でもあります。

Google, Appleなど米国のIT企業を意識した内容ですが、「キャリア」という観点からプロダクトマネージャーという職業をあぶりだした本で、非常にリアリティがあります。

業務内容の紹介から始まり、キャリアの築き方、面接対策とプロダクトマネージャーになるためのコンテンツが詰まっています。また、プロダクトマネージャーへのインタビューが掲載されていて、業務内容やマインドセットを知ることができます。

本書を1冊目に読むのもよいと思います。しかし、前述のキャズムを読んで「戦場」の感覚を得た後に本書を読み返すと、キャリアとしてのプロダクトマネージャー像が立体的にわかると思います。

3. Inspired: 顧客の心を捉える製品の創り方

著名なプロダクトマネージャーによる、成功する製品の創り方を教えてくれる本です。これもIT系ビジネスの本ではありますが、プロダクトマネジメントの勘所と本質を掴むことができます。

顧客の心をいかに捉えることができるか―製品のあり方として、マーケティングの発想を持つことの重要性と説き、そのための実務的なテクニックがちりばめられています。さらに、本書では「プロダクトマネージャーの条件」と題する章があり、優秀なプロダクトマネージャーの考え方やスキルについて洞察しています。

これは、著者自身のプロダクトマネージャーとしての経験に加えて、様々な企業を支援してきた多彩な経験があるからこその知見です。その著者がプロダクトマネージャーに必要な資質として「製品に対する熱意」を1番目にあげているのが、非常に印象的です。そして、成功体験を持つプロダクトマネージャーは、同じことを言うのではないかとも感じました。

4. プロダクトマネジャーの教科書

前の3冊はIT色が強い本でしたが、この本はITだけでなく、自動車産業や一般消費財も含めた一般的なプロダクトマネージャー向けに書かれた本です。教科書(原著ではHandbook)と題する通り、プロダクトマネジメントに必要な要素が、フレームワークとして整理されています。

ボリュームもあるので、リファレンス的にも活用できる本です。トレンド分析、競合分析といった市場に関するトピックスに加えて、投資回収の考え方まで網羅されています。

知識を無味乾燥に示すのでなく、例えば競合分析では「真の競合は誰か考えよ」という話があるなど、プロダクトマネージャーはどういう考えを持つべきか、という点に踏み込んでいるのが特徴です。

また、プロダクトマネージャーの仕事そのものにもフォーカスした章もあります。加えて、多様な業界のプロダクトマネージャーへのインタビューも掲載されているので、仕事をイメージしやすいでしょう。

 

プロダクトマネージャーが読むべきマーケティング

成功するプロダクトマネージャーは、すべからく市場を意識し、市場の潜在的なニーズを捉えた製品を生み出します。つまり、マーケティングの視点を持っています。

ところで、マーケティングというと、プロモーションや市場調査、A/Bテストなどをイメージする方もいるかと思います。しかし、以前のエントリーで書いたように、プロダクトマネージャーは製品戦略の一環としてマーケティングを考える必要があります。

ここでは、こうした視点を身につけられる本をご紹介します。

5. 図解 実戦マーケティング戦略

実践的なマーケティングの本として、ロングセラーとなっている本です。

まさに本のタイトルに重要なキーワードが詰まっていて、マーケティングと経営戦略の双方の視点を学ぶことができます。このブログでもレビューを書きました。

図解 実戦マーケティング戦略 〈本のレビュー〉 商売とは何かを教えてくれる本 - スーツ姿のプロダクトマネージャー

プロダクトマネージャーが、製品の戦略や機能の取捨選択を行う際には、何らかの意思決定が必要になると思います。そのとき、技術的な話に加えて、「市場を見る目」と「商売の仕方」を知っておく必要がでてきます。本書は、このような考え方・コンセプトを、難しい言葉を極力使わずに丁寧に説明しています。

初めてマーケティングを学ぶ方や、エンジニア出身のプロダクトマネージャーがビジネスを学ぶときに、最適な本です。

6. コトラーの戦略的マーケティング  いかに市場を創造し、攻略し、支配するか

マーケティングの分野では、権威的なコトラー教授。大学やMBAでのマーケティングの授業でも使わるような本から、ビジネスパーソン向けの本まで、幅広く出版されています。

本書は、特に実務家向けに書かれたマーケティングの本です。コトラー教授が、20年にわたって企業の経営幹部向けに行ってきたセミナーの内容を凝縮したということで、大変に密度の高い内容です。

プロダクトマネージャーを「ミニCEO」と考えるならば、本書で語られるマーケティング戦略は、まさにプロダクトマネージャーが実装すべきスキルと言えるでしょう。

本書の特徴は、マーケティングのエッセンスがコンパクトまとまっていることと、有能なマーケターや事業戦略家が持っている考え方を示してくれることです。例えば、以下の一節を読むと、マーケティングの目的と骨格が刺さる感じで入ってきます。

マーケティングとは、機会を発見し、開発し、利益を得るための技能である。機会をまったく見出せないマーケティング部門ならば、ない方がましだ。

こうした一節が、各テーマの冒頭に書かれていて、読み返すたびに唸らされることになります。行き詰まったときに読み返すことで、何かしらヒントをくれる本でもあります。

私は、本書を新人の時に購入しずっと手元に置いています。その間、マーケティングの本はたくさん購入し読んできたのですが、本書は手放すことができません。

7. Running Lean ―実践リーンスタートアップ

コストをかけずに最小限のプロトタイプを作り、ビジネスの仮説を顧客とともに練り上げる手法であるリーンスタートアップシリコンバレーにおける成功事例を方法論としてまとめ上げた手法として、日本でも取り入れられてきました。

リーンスタートアップの本はいくつか出ていますが、その中で実践的でわかりやすいのが本書です。特に、初期段階のプロセスが細かく具体的に書かれています。このため、読みながら実務に応用しやすい本だと思います。

本書は、リーンスタートアップの本ですが、製品を市場に合わせていく「製品/市場フィット」ができるまでのフェーズを扱っています。

マーケティングによる製品開発の手法とでも言うべき内容で、プロダクトマネージャーは方法論として知っておくべきでしょう。

 

プロダクトマネージャーの戦略眼を養う本

プロダクトマネージャーは、製品戦略を立案するポジションにいます。また、日々の業務の中で、製品の成否にかかわる様々な意思決定をする必要があります。

このため、プロダクトマネージャーは、製品を市場に届ける方法から、ターゲット市場の動向に至るまで、製品を取り巻く様々な要素を把握する必要があります。端的には、経営戦略に近い目線で製品を考える必要があるのです。

この意味で、マーケティングプロダクトマネジメントのひとつの要素となり、プロダクトマネージャーはより広い視点―戦略眼を持つ必要が出てきます。

ここでは、戦略眼を養うために必要な本をご紹介します。

8. イノベーションへの解  利益ある成長に向けて

イノベーションのジレンマという言葉をご存じでしょうか。

規模が大きくて市場で優位に立っている企業が、新興企業が起こしたイノベーションをきっかけに崩されてしまうことがあります。このとき、なぜ資金力がある既存企業がイノベーションを起こせないのか、ということを理論的に説明したのがイノベーションのジレンマです。

本書の著者であるクリステンセン教授は、このイノベーションのジレンマの理論を構築し、大変な衝撃を与えました。その1冊目の本である「イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」は、経営者必読の書となっています。

本書はその続編で、イノベーションをどうやって起こし、どう戦うかということがテーマです。前作から読んでもよいですが、本書から読んでも十分に理解できる構成です。新規事業の立ち上げや、新製品の開発に携わっている方は、むしろ本書から読むべきでしょう。

また、成功している製品を抱えているプロダクトマネージャーも、イノベーションのジレンマについては知っておく必要があります。もしかすると、まだ見えていない競合企業が、本書で書かれているような戦略で攻めてこようとしているかもしれないからです。

9. 戦略シナリオ 思考と技術

ロジカルシンキングと戦略フレームワークの双方を学ぶことができる本です。経営コンサルのエッセンスが詰まった本ですが、一般的なビジネスパーソン向けに書かれた本であるため、わかりやすいです。

本書の特徴は、徹底した戦略的な考え方の指南にあります。ロジカルシンキングも、戦略フレームワークも、ビジネスで戦うことを想定した内容となっています。この点で、フレームワークをカタログ的に並べただけの入門書とは一線を画します。

また、本書を熟読することで、実例を通してビジネスや市場の全体像を見る目が養えます。

プロダクトマネージャーは、製品の開発から顧客に届くまでのビジネス的なプロセスや、市場や自社ビジネスのポジションを俯瞰的に見ることができるようになるでしょう。

10. イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)

ドラッカーはマネジメントを発見したことで知られています。その著作によって、企業の経営者からミドルマネージャーに至るまで、組織とビジネスにかかわるすべての方に対して影響を与え続けてきました。

本書は、イノベーションにフォーカスした本で、どのようにイノベーションを起こすのかということを論じています。実践の書としつつも、安易なハウツーでなく、方針や意思決定のための考え方を示す本です。このため、内容を理解するには時間がかかるのですが、深く理解することで本質的な知見を得ることができ、結果的に実務に応用できるようになります。

イノベーションの方法として、イノベーションの原理と機会の発見、組織と人材(企業家精神)、経営戦略(企業家戦略)の3つに分けて論じられています。本書によりイノベーションという現象の本質と、そのマネジメントを学ぶことができます。

また、本書では、ベンチャー企業だけでなく、既存企業におけるイノベーションの方法についても多く書かれています。この点で、普遍的な洞察を得ることができる本でもあります。

プロダクトマネージャーは、ある意味において製品によるイノベーションを主導する人材です。本書から得られる知見は、プロダクトマネージャーにとって、貴重な物差しとなるでしょう。

11. 孫子

孫子古今東西もっとも有名な兵法書として知られていて、東洋だけでなく欧米諸国でも研究されてきた古典です。

戦争を論じた本ですが、経営戦略や組織運営に応用できる深い洞察が得られます。このため、企業経営者がよく読む本でもあります。このブログでもレビューを書きました。

孫子をビジネスに活かす! 製品企画やプロダクトマネージャーに必要な戦略思考 - スーツ姿のプロダクトマネージャー

起業家のバイブル的な存在となっている「アントレプレナーの教科書」でも、本書が参考図書になっています。スタートアップから大きな企業の経営者まで、本書から学べることが多いということですね。

戦争論というと、プロダクトマネージャーから見たとき、少し遠い話題に見えるかもしれません。

しかし、組織内での業務経験や、市場で他社と競争する経験を積むほど、本書で語られる洞察にはっと気づかされることが多くなるはずです。