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SIerのSE キャリアの節目でどうやって次の一手を考えるか?

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「今後のキャリアをどうしたらよいと思う?」

つい先日、友人のSEからこのような相談を持ち掛けられました。SI中心のキャリアを築いてきた彼は、ここ数年で自社や業界を取り巻く環境が大きく変わってきて、いろいろ思うところがあるようでした。

少し前に、キャリアの創造的破壊というテーマで記事を書きましたが、ここ数年で転職について話すことが自然になってきたという印象です。

 

この記事では、SIerのSEが今後のキャリアを考えようとしたとき、初めに何をすればよいか? ということを考えてみます。

 

SIerのSEが抱えるキャリア上の不安

冒頭に出てきた友人は、新卒として同じ時期にSEとしてSIerに入社。その後、似たような時間軸で昇格を重ね、今に至ります。彼と私のキャリア上の大きな違いは、職種の変更を伴う異動を経験してきたか否かということのみです。私はSE、データサイエンティストなど複数の職種を経験していますが、彼はずっとSIerのSEとしてキャリアを積み上げてきました。

今から数年前に久々に彼と食事をしたときのことです。仕事の話題になったところで、なぜそんなに私が職種を変えるのか?という話になりました。スキルも新たに身につける必要があるし、人間関係も変わって大変だというのが彼の主張でした。確かに、その当時の私は、新しい環境で右往左往していてストレスが溜まっていました。*1

自分の思いやキャリア上の戦略を伝えたのですが、上手く伝えることができませんでした。そこで、密かに思ってたこととして、「もしかすると数年後にはSEという職業はなくなっているか、形が変わっているかもしれないよ?」と言ってみました。しかし、彼は「SEというかプロマネの仕事は絶対になくならないよ。」と応え、議論がかみ合いませんでした。

その数年後、つまり今年の話です。その彼と再開したのですが、SEを取り巻く環境は一変していました。インフラ構築はAWSなどクラウドが主流になりつつあり、Web系企業や製造業へITエンジニアが流れ始めていました。さらに、IoT/AIといった新しい技術が押し寄せてきて、これまでとは開発プロセスも提供価値も違うシステムを扱わなければならなくなってきました。国内SI市場は好調。しかし、将来や業界を水平に見ると、SEの不安は募るばかり…というのが今の状況かと思います。

こうした背景があって、冒頭の相談になったというわけです。そのとき彼にいくつかのアイデアを伝えたのですが、なるほど!と素直に感心してくれました。私が話した内容は、おそらくキャリアチェンジで考える一般的なことだと思いますが、以下でいくつかのアイデアを整理してみます。

 

まず、自分がやってきた仕事を振り返ってみる

日々の仕事に真剣に対峙し、SEとして実績を積み上げた人は、それだけで素晴らしいキャリアを作っています。厳しい顧客要求のプレッシャーにさらされ、それを乗り越えてきた人には、なにかしら強みがあるはずです。

しかし、その経験や自分の強みを一言で語れるでしょうか。SEといっても経験は人により様々。もし、自分自身の経験や強みが明確に言えたなら、それを活かすことができる会社や別の職業を検討できるかもしれません。もちろん、社内に留まる場合も同じだと思います。SEとしてキャリアを更に積み上げる選択をした場合でも、どのスキルを伸ばしていくかを考えるヒントになるはずです。

まず自分の仕事を振り返り、自分と向き合うことから初めてみましょう。そのためのアイデアをいくつか紹介します。

 

職務経歴書を書いてみる

職務経歴書はこれまでの仕事経験を整理した文書です。実際に転職をするときに、書類選考上重要なアイテムになります。履歴書と違い、決まったフォーマットはありません。A4で1-2毎にまとめるのが理想です。

ずっとSEとして働いて来られたら方の中には、職務経歴書を書いたことがない人もいるでしょう。まず、自分を過去を棚卸しするために職務経歴書を書いてみましょう

初めて職務経歴書を書く場合、何を書いてよいかわからないと思います。やったことをすべて書くと長くなってしまうし、省略しすぎると相手に伝わらなくなってしまいます。また、基本的には他の企業、他人に見てもらうものなので、業界・会社特有の名詞や言い回しは使えません。そして何より、自分を売り込める内容にしなくてはなりません。相当悩むのではないでしょうか。

職務経歴書は自分の経験を外部に伝えるためのものです。そのため、これを書くということは、自分自身を客観的に見ることに繋がります。できれば、プロジェクトや職務単位に、仕事上のポジション、職務内容、成果といった軸でまとめてみてください。こうすると、自分の強みや外向けのアピールポイントも抽出できるでしょう。

また、職務経歴書は必ずしも転職のために書くものではないと考えています。自分自身の振り返りとして整理するもの。私はそのときの状況によらず、毎年更新していくようにしています。毎年書くことで、自分がどの程度成長でき、面白いことに取り組めたのかということを整理することができます。*2

 

自分がやってきた仕事やプロジェクトを書き出し、2×2軸で評価する

過去数年間で思い出せる自分の仕事を洗い出します。「Aソフトウェアの設計」や「Bプロジェクトの提案書作成」「パートナー向けC案のプレゼン」など、できるだけ具体的に書きだします。そして、それらの作業を「好き」か「嫌い」、「得意」か「不得意」という観点で整理していきます。以下のように2×2のマトリックスで整理してもよいでしょう。

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自分の仕事を振り返る

この作業でわかることは、自分の仕事に対する適正と価値観です。できれば、その両者が交わるところで仕事をしたいものです。意外な得意領域の発見もあるでしょうし、逆に嫌々やっていた仕事も浮き彫りになることもあるでしょう。

自分ひとりで考えると自分の本音がわからなくなるかもしれません。そこで書き出すときのヒントをいくつかあげてみます。

まず、好き・嫌いについては、嫌いだということから始めるのが良いと思います。具体的には、その作業を明日からもう一回やれと言われたときにうんざりするかどうかです。人は思い出補正をしてしまうので、好きなことを考えていても、その中に嫌いな作業が混じってしまうものだからです。本質的に嫌いなことを明確にしておけば、後で簡単にチェックできます。

また、得意・不得意を考える場合は、楽々にその作業ができるかどうかで考えてみます。得意という作業は意外に認識できないもの。なぜなら、自分にとっては苦もなく普通にできてしまうので、それが得意であることに気づかないのです。そして、得意の中からダントツだと思えるものに☆印をつけましょう。ダントツであるとは、職場でこれだけは負けないと思えることや、その仕事のやり方をよく人に尋ねられるようなことです。それこそがリアルで破壊的な強みになるでしょう。

もし、この作業を通して「今の仕事が好きだ!」と思えるなら、それは素晴らしいことだと思います。

 

外へ出て、人の話を聞いてみる

自分の振り返りが少し進んだところで、外の刺激を受けてみましょう。建物の外に出て自分の会社や業界を離れ、新鮮な情報を集めていきます。こうすることで、世の中の仕事の広がりを認識することができます。また、人と話すことで自分の考えが整理されてくることもあります。

ポイントは、外に出る前に自分と向き合った上で、その人に聞きたいことを整理しておくことです。もやもやとした気持ちを感じるところや、疑問点を明らかにしておくことが効果的です。質問を考えると、自然と自分のアンテナが高くなります。なんとなく外の刺激に触れたとしても、得るものは少ないでしょう。

それでは刺激を受けるためにどんなアクションをとればいいでしょうか。

 

いつもと違う人に会う

まず手始めに、自分の会社・業界の外にいる人に会ってみましょう。仕事でなくプライベートで話すことが大切です。

ポイントは、遠すぎず近すぎず。特に親類など距離が近い人になると、なかなか本音で話せないと思いますし、新鮮味が欠けるでしょう。気になる仕事をしている人を友人を介して探すなど、ゆるい繋がりから探すのがコツです。

また、気になる分野があってもそこに知り合いがいないときは、公になっているコミュニティーに入ってしまうという方法もあります。例えば、気になる技術や分野の学術関連の学会のメンバーになって、大会に参加してみるのも良いでしょう。入会にあたっては、紹介者を必要としない大きな学会が狙い目です。コストは年間1万円前後なので、新聞2~3ヶ月分でなんとかなりそうです。

また、気になる資格や身につけたい技術がある場合には、資格のスクールや関連セミナーに参加することも有力な手段だと思います。

 

 

 

ある人の話ですが、長年やりたい仕事があったのになかなか手を出せないでいました。悶々と考えるだけで手を出せなかっただけでなく、自分には向かないと思い込んですらいました。そんなとき、その分野の第一線で活躍している方が主催する技術講座を発見します。そこで、思い切って飛び込んでみたところ、技術を身につけられただけでなく、その仕事関係の人脈が一気に広がったと言います。

上の例はかなりうまく行ったケースで、普通は試行錯誤を繰り返すことになるでしょう。しかし、動いて人と話すことで道が見えてくるということもあります。

 

転職エージェントに登録してみる

自分の職務経歴書が書けたら、転職エージェントに登録しているのもよいと思います。

転職エージェントは、転職者の情報を元に手持ちの案件をマッチングさせていきます。このため、転職エージェントに登録することで、自分自身の職務経歴を活かせる仕事が何なのかある程度わかるようになります。特に、ここ数年はSIerから事業会社やWeb系企業へ転職する人が増えているので、選択肢が広がっている印象です。その中でも、自分自身の可能性を広げる仕事と出会うためには、リアルな求職情報に加えて客観的な評価を知る必要があると思います。

転職エージェントに登録し、様々な求職情報に触れるもう一つのメリットは、業界の動向をなんとなく掴めるということです。例えば、過去に自動車関連の製造メーカーがITエンジニアを獲得するために広告を出したことが話題になりました。

www.sankeibiz.jp

 

これは1年以上前の話題ですが、製造業におけるITエンジニアの募集はこのニュース記事よりも前から活発になっていました。この他にも、広告代理店がデータサイエンティストを募集していたり、保険会社がITエンジニアを募集していたりと、求人情報を見ているとIT・デジタルを取り巻く労働市場の変化が見えてきます。

 

以上のように、自分の内と外を行ったり来たりしながら、徐々に次の一手を考えていくというのがよいと思います。

 

 

 

 

*1:このときのエピソードは「七転八倒記」として書いています。

*2:例えば、ピーター・ドラッカーは自分の強みを把握するために、90日単位で仕事経験を整理してフィードバックをするのが良いと言っています。「プロフェッショナルの条件 (P.ドラッカー)